鹿児島県で観光まちづくりに力を入れているところとして、観光名所である仙巌園の名前が挙がりました。近くに住む私たちだからこそ知っておくべき仙巌園の魅力と取り組みについて、改めて調べてみたいという想いからお話を伺いに行きました。

仙巌園について

仙巌園はもともと万治元年(1658年) に、19代光久によって築かれた島津家の別邸です。

1949年に一般公開され70年以上愛されてきました。2015年には世界文化遺産に登録され、現在は鹿児島を代表する観光地として、多くの人に知られています。仙巌園といえば歴史ある建造物と美しい景色が特に有名です。大きな桜島と錦江湾の景色は圧巻です。

庭園を彩る植物は季節と共に移り変わり、訪れた人々をもてなします。食事処や文化体験にも力を入れており、季節毎のイベントも魅力的です。

私たちが今回紹介したいのは仙巌園でしかできない文化体験です。

文化体験は薩摩切子や薩摩焼、大島紬などの伝統工芸品を用いた小物づくりや弓矢体験・甲冑や小袖五衣などを身にまとうなど様々です。実際に私たちは、「切子かけらの細工」という薩摩切子の欠片を使用したストラップを作成する体験をしました。「切子かけらの細工」では、薩摩切子を制作する際に出た端材を使用します。薩摩切子は高価で普段触れることが少なく、鹿児島県民の私たちも薩摩切子の認識があまりありません。しかし、文化体験を通して薩摩切子を身近に感じ、鹿児島の伝統工芸品への理解を深めることができました。

課題と展望

鹿児島県内の方に来ていただけないことを課題と捉えています。その時その時の、旅行形態やニーズを把握し、お客様に興味を持っていただいたとき、様々な催し物や体験ができるよう予約無しの体験も用意しています。時代の変化に合わせて鹿児島らしさと島津家らしさを残しつつ、庭園を通して日本の四季を感じられるよう心掛けています。コロナ禍で開園が出来なかった時期に県民の方に参加してもらい、ご意見を聞くといったマーケティングにも力を入れています。

感じたこと・学んだこと

今回の取材では、鹿児島の魅力をより鮮明に感じることができました。私たちが住んでいる鹿児島を観光する場合、都会と比較して魅力的なものが少ないと考える人が多いです。

実際に仙巌園も、観光客が楽しめる場所という認識が強いことで地元の人が訪れる機会が少ないと感じていました。しかし、今回の取材を通して、鹿児島の様々な伝統文化体験をしたり鹿児島の食材が活かされた食べ物を食べたりと楽しむことができました。また、仙巌園から見える桜島はとても美しく、取材を終えた今、都会とは違った鹿児島の魅力があると再認識することができました。

観光まちづくりの一環として観光者だけではなく、地元住民の方にも楽しんでいただけるよう島津家などの歴史や季節を感じられるような四季折々のイベントを開催しています。インスタグラムやツイッター・フェイスブックなどのSNSを活用し、幅広い年代に知ってもらえるようになっています。まだ一般市民や学生には広まっていない仙巌園の魅力を、私たちがSNSを活用して普及させていくことが地元住民や観光者が楽しめるまちづくりのきっかけに繋がっていくのではないかと考えます。

こぼれ話

仙巌園には猫神をはじめとして、いたるところに猫の姿があります。実は、第17代の島津義弘公が朝鮮出兵に行った際、7 匹の猫の瞳孔の開きぐあいをみて、時計代わりに連れて行ったという逸話があるそうです。今では生還したとされる2 匹が猫神様として祀られています。

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